微生物学:マイコバクテリアのdivisomeの因子の1つの欠失は単一細胞表現型の不均一性を失わせる
Nature 546, 7656 doi: 10.1038/nature22361
微生物は集団として研究されることが多いが、個々の細胞の挙動が重大な結果をもたらす場合もある。例えば結核は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)によって引き起こされ、病原菌集団の大部分が迅速に死滅するような場合であっても、数か月間の抗生物質治療が必要である。これより治療期間が短いと再発率が高くなるが、それは細菌集団の一部が、容易に死滅する菌と遺伝的に同一であるにもかかわらず、生き延びることがあるからである。実際に、マイコバクテリアでは細胞が分裂するたびにばらつきが生じ、サイズや増殖速度がさまざまな娘細胞が生まれる。こうした高頻度の変動の原因となる機構や、ばらつきとその集団の生存とを関係付ける仕組みは解明されていない。今回我々は、マイコバクテリアが能動的に不均一性を作り出していることを示す。蛍光レポーターおよびFACS(fluorescence-activated cell sorting)を使ったトランスポゾンスクリーニングにより、これまで機能が知られていなかった遺伝子lamAの欠失が、非対称的な極性成長を低下させることで、集団の不均一性を低減させることが明らかになった。LamAは、他の生物でのホモログは知られていないが、マイコバクテリアの種間では高度に保存されている。我々は、LamAがマイコバクテリアの分裂複合体(divisome)に含まれることを見いだした。LamAは新たに生じた極での成長を阻害して、極性成長に非対称性を生じさせる。lamAを欠失した細胞の個々の殺菌動態は、リファンピシンや細胞壁を標的とする薬剤を用いた場合、より均一かつ迅速なものだった。我々の結果は、マイコバクテリアが細胞の成長パターンを制御する保存されていないタンパク質をコードしており、その結果として、不均一かつ抗生物質の選択圧から生き延びる能力の高い集団が生じることを示している。

