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地球科学:プレート境界断層に見いだされた極端な熱水条件
Nature 546, 7656 doi: 10.1038/nature22355
温度と流体圧は、断層面上の岩石変形と鉱物組成、さらには地震の分布を支配している。大陸地殻では、流体圧は静水圧、温度勾配は地表近くで1 km当たり31 ± 15°Cの値が一般的である。通常、地下10~15 kmより深くなると温度は300~450°Cとなり、石英と長石の結晶塑性による非地震性クリープが発生し、応力が緩和されるため、地震はあまり起きない。熱水条件は、鉱物相の安定性を支配することで、地震破壊のサイクルに関連した摩擦力学的過程に影響するが、プレート境界断層における温度と流体圧のデータについてはこれまで十分な報告がない。本論文では、地震後経過率が高く今後数十年内にマグニチュード8の地震を起こすと予測されている、アルパイン断層上盤を掘削した抗井における結果について報告する。この抗井(深さ893 m)から、断層上盤においては、間隙流体圧勾配は静水圧よりも9 ± 1%高く、平均地温勾配は1 km当たり125 ± 55°Cであることが明らかになった。このような極端な熱水条件は、断層運動が速いことと、地形によって駆動される流体の流れに起因し、前者によって深部から岩石と熱が移動し、後者によって熱が渓谷に集中する。断層に沿う剪断加熱は、この観測結果を説明する上では重要ではない。今回のデータとモデルは、岩石破壊と変質を含む断層すべり過程と、プレート境界断層周辺の景観形成の間の正のフィードバックが、地震発生帯上部の極めて異常な間隙流体圧と極端に高い温度勾配をもたらす可能性を示している。

