免疫学:造血系腫瘍細胞のMac-1インテグリンを介したファゴサイトーシスにはSLAMF7が重要である
Nature 544, 7651 doi: 10.1038/nature22076
がん細胞は、抑制性の免疫チェックポイント受容体に対するリガンドの発現を上昇させるなど、多数の機構により抗腫瘍免疫を回避している。マクロファージによるファゴサイトーシスは、がんの制御において非常に重要な役割を果たしている。マクロファージ上の抑制性受容体であるSIRP(signal regulatory protein)α、あるいはそのリガンドで腫瘍細胞上に発現しているCD47を治療のために阻害すると、in vitroおよびin vivoにおいて腫瘍細胞の除去作用が高まることから、SIRPα–CD47チェックポイント阻害がヒトがんの治療に役立つ可能性がある。しかし、腫瘍細胞のファゴサイトーシスを担うファゴサイトーシス促進性受容体についてはほとんど明らかになっていない。今回我々は、SIRPα–CD47阻害への応答において、マクロファージが非造血系腫瘍細胞よりも造血系腫瘍細胞に対して、はるかに効率的にファゴサイトーシスを行うことを見いだした。造血系細胞特異的な同型受容体のSLAM(signalling lymphocytic activation molecule)ファミリーを欠損したマウスを用いることで、SIRPα–CD47阻害の際に造血系腫瘍細胞のファゴサイトーシスがSLAMファミリー受容体に厳密に依存していることが、in vitroとin vivoにおいて明らかになった。マウスおよびヒトの両方の細胞において、この作用には、マクロファージおよび標的腫瘍細胞上に発現するSLAMファミリー受容体のSLAMF7(別名CRACC、CS1、CD319)のみが必要であった。SLAMF7を介するファゴサイトーシスは、ほとんどのSLAM受容体の機能とは異なり、SAP(SLAM-associated protein)アダプターには依存していなかった。代わりに、このファゴサイトーシスは、インテグリンのMac-1と相互作用して、ITAM(immunoreceptor tyrosine-based activation motif)が関わるシグナルを利用するSLAMF7の能力に依存していた。これらの知見は、マクロファージが造血系腫瘍細胞を貪食して破壊する機構を解明し、また、SLAM受容体のSAPアダプター非依存的な新しい機能も示している。さらに、SLAMF7を発現する腫瘍が見られる患者はSIRPα–CD47阻害療法に反応しやすいであろうことが示唆された。

