大気科学:1982年以降に3倍になった衛星観測におけるサヘル地域の極端な嵐の頻度
Nature 544, 7651 doi: 10.1038/nature22069
水文学的循環は地球温暖化の下で強まると予想されており、さまざまな研究で、世界の多くの地域において極端な降雨事象の頻度が高まっていることや、将来の洪水の頻度が増えるとの予測が報告されている。気候モデルにおいて対流性降雨の記述が不十分であるため、そうした初期の、主に中緯度域の観測は極めて重要である。全球的に重要な激しい嵐の集団であるメソスケールの対流系(MCS)は、従来の気候モデルでは解像できない空間スケールで動的に組織化されているため、特に困難な課題となっている。今回我々は、西アフリカのサヘル地域の35年間の衛星観測結果を用いて、最も強いMCSの頻度が持続的に増加していることを明らかにする。サヘル地域の嵐は地球上で最も強いものの1つで、この地域の雨量計は、「極端な」全日降水量の増加を記録している。我々は、強いMCSの増加は、サヘル地域の年降水量の数十年スケールの回復とは弱い関連性しかないが、全球の陸域の気温と強い相関があることを見いだした。アフリカ大陸における傾向の解析から、MCSの強化はサハラ砂漠の南側の狭い帯状の地域に限定されることが明らかになった。観測期間中は、サヘル地域の雨季の気温は上昇しておらず、局地的に温暖化した状態に応答して降水量が増大した可能性は排除される。一方で、サヘル地域一帯における気温の南北勾配はここ数十年間に増大しており、人為的強制がサハラ地域の温暖化を増強していることと一致する。我々は、サハラ地域の温暖化が、ウインドシアの増加とサハラ地域の気層の変化を通して、サヘル地域のMCS内部の対流を強化していると主張する。南北方向の気温勾配は、21世紀を通して強くなると予測されており、サヘル地域で、極端な降雨事象が特に著しく増加することを示唆している。1980年以降のサヘル地域のMCSの著しく急速な強化は、地球温暖化に対する熱帯の組織化された対流の応答に新たな光を当て、大循環モデルによる従来の予測に異議を唱えるものである。

