考古学:米国カリフォルニア州南部の13万年前の遺跡
Nature 544, 7651 doi: 10.1038/nature22065
人類の北米への最初の分散時期は議論の絶えないテーマであり、初期の遺跡として提唱されたものが受け入れられるには、以下の4つの基準を満たす必要がある。(1)考古学的証拠が発見された地質学的状況が明確に定義されていて擾乱を受けていないこと、(2)信頼性の高い放射年代測定法によって年代が決定されていること、(3)学際的な研究から得られたさまざまな証拠が一貫した結果を示していること、(4)疑う余地のない人工物が擾乱を受けていない地層で発見されていることである。本論文では、in situの叩き石および台石が1個体のマストドン(Mammut americanum)の断片的遺骸と時空間的に関連している、後期更新世前期のCerutti Mastodon(CM)遺跡について報告する。CM遺跡には、らせん骨折した骨および臼歯の断片が含まれており、こうした破壊が死後間もない時期に行われたことを示している。これらの断片の中には、打ち付けの証拠が保存されているものも複数存在した。骨、臼歯および石の接合の状況および分布は、破壊が埋没地で行われたことを示唆している。CM遺跡の骨層で発見された5つの大きな丸石(叩き石および台石)は、使用による摩耗および衝撃痕を呈し、周囲の砂質シルト層の低エネルギー環境に対して水理学的に異質である。複数の骨標本について、年代測定の拡散・吸着・崩壊モデルを用いて230Th/U放射分析を行ったところ、埋没年代は13万700 ± 9400年前であることが示された。以上の知見は、最終間氷期(MIS 5e、後期更新世前期)のCM遺跡にヒト属の不明種が存在したことを裏付けており、このことは、叩き石および台石を使ってマストドンの肢骨を処理し、骨髄を取り出したり道具製作の材料としたりするといった手先の器用さと経験を兼ね備えた人類が存在したことを示している。CM遺跡に明らかに存在した長鼻類動物の骨の系統的な破壊行為は、アフリカ、ユーラシアおよび北米にわたって見られる旧石器時代の骨を打ち欠く技術のより幅広いパターンの中に収まっている。我々の知るかぎり、CM遺跡は、in situの、詳細に記録された北米最古の遺跡であり、従って、南北アメリカへのヒト属の到達時期を大幅に書き換えるものである。

