Letter
地球科学:ヒマラヤ山脈の礫流量を限定する摩滅
Nature 544, 7651 doi: 10.1038/nature22039
ヒマラヤ山脈から流れる川が運ぶ流送土砂は、地球上で最も多い部類に入るが、こうした河川の粗い礫は、ガンジス平野(ガンジス川を含む北インドの沖積平野の一部)に入ってから約10~40 km以内で存在しなくなる。礫の運命を解明することは、地震や嵐がきっかけとなって大量の土砂が流入した際の河川の応答を予測するのに重要である。1999年の台湾・集集地震と2008年の中国・汶川地震後に生じた礫流量の急速な増加とその後の河床の埋積作用(すなわち、河川による土砂の堆積)は、流路の容量を減少させ洪水氾濫を増大させた。本論文では、ガンジス盆地における、扇状地の形状、土砂の粒径、および岩石学的性質の分析結果を提示する。我々は、ヒマラヤ山脈中央部から流れ、上流の集水域が約350~5万 km2に及ぶさまざまな河川の礫流量が同程度であることを見いだした。今回の結果は、100 km以上上流から流れてきた礫の大半がガンジス平野に到達するまでには砂に変わっているという観測結果が、河川によって輸送されている間の礫の摩滅によって説明できることを示している。こうした知見は、2015年のネパール・ゴルカ地震後などの、大ヒマラヤ山脈から流出する土砂の地震に起因する一時的な増大は、山脈フロントにおける礫の埋積作用を増大させそうにないことを示唆している。その代わりに、我々は、土砂の流入によって砂の流量は増大するはずであり、人口密度が高く高低差の小さいガンジス平野に埋積作用の独特なパターンと洪水リスクをもたらす可能性があると提案する。

