Letter

気候科学:表面の川への融解水の流出によって安定化する可能性がある南極の棚氷

Nature 544, 7650 doi: 10.1038/nature22048

池やクレバスに蓄えられた融解水は、棚氷を弱くして破壊し、急速な崩壊のきっかけとなる可能性がある。棚氷の崩壊によって、隣接する氷河や氷流からの氷のフラックスが増加するため、全球の海水準が上昇する。しかし、棚氷の表面に形成される川は、蓄えられた融解水を流出させ、その破壊的な影響を防ぐ可能性がある。本論文では、南極のナンセン棚氷において、棚氷の融解水の大部分を海へ流出させる水路網(相互に連結した流れや池や川)が持続的に活動していることを示す証拠を提示する。我々は、1世紀以上にわたって、活動的な水路網が、滝やドリーネを通して水を氷の表面から流出させてきたことを見いだした。表面の川は、幅130 mの滝が終端となっていて、表面の年間融解量の全てを7日間で流出させることができる。より温暖な融解季には、こうした水路網は、より長期間にわたって活動を維持し、より多くの水を流出させて、環境条件の変化に適応している。グリーンランドのペテアマン氷河の前面の棚氷にも類似した水路網が存在するが、ラーセンC棚氷やアメリー棚氷などの他の系では、現在のところ表面の水が保持されている。水の流出または保持を決定する要因は、まだよく分かっていない。とはいえ、今回の結果は、将来の温暖化する気候において、融解水が氷の表面に蓄えられ、それがきっかけとなって棚氷の崩壊が起こると仮定している現在の南極の氷床モデルに反して、表面の川は、南極を囲む大きな棚氷から融解水を流出させる可能性があることを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度