がん:腫瘍血管の正常化と免疫刺激再プログラム化の相互調節
Nature 544, 7649 doi: 10.1038/nature21724
血管新生の阻害は腫瘍の増殖を遅らせることができるが、矛盾することに、転移を増加させる可能性もある。この矛盾は、血管の正常化によって解決できると考えられており、血管正常化には周皮細胞の被覆度の増加、腫瘍血管灌流の改善、血管透過性の減少およびその結果としての低酸素状態の軽減が関わっている。これらの過程は腫瘍のプログレッションを変化させるが、その調節はあまり理解されていない。今回我々は、1型ヘルパーT(TH1)細胞が、血管の正常化に非常に重要な役割を担っていることを示す。バイオインフォマティクス解析から、血管正常化に関連した遺伝子発現の特徴が、特にTリンパ球浸潤もしくは活性の免疫刺激経路と相関することが明らかになった。因果関係を明らかにするために、我々は、血管正常化もしくはTリンパ球欠損のさまざまなマウスモデルを用いた。血管正常化を阻害すると、予想されたようにTリンパ球の浸潤が低下し、逆にCD4+ Tリンパ球を除去もしくは不活性化すると、血管正常化が低下したことから、相互的な調節ループの存在が示唆される。さらに、免疫チェックポイントの阻害によるCD4+ Tリンパ球の活性化は、血管正常化を増強した。インターフェロンγを分泌するTH1細胞が、血管正常化に関連する主要な細胞集団であることが分かった。免疫不全マウスにおいて増殖中の患者由来の異種移植腫瘍では、免疫が正常なヒトでの元々の腫瘍と比較して低酸素状態が増強しており、低酸素状態はTH1の養子移入によって減少した。我々の発見は、血管系と免疫再プログラム化におけるTH1細胞の予想外の役割を明らかにしている。TH1細胞は、免疫チェックポイント阻害と抗血管新生の効果の両方における、マーカーかつ決定因子である可能性がある。

