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神経科学:Myt1lは多くの非ニューロン性運命を能動的に抑制することでニューロンのアイデンティティーを保護する

Nature 544, 7649 doi: 10.1038/nature21722

正常な分化や再プログラム化の誘導には、目的とする細胞プログラムの活性化と、ドナー細胞プログラムのサイレンシングが必要である。再プログラム化では、同じ因子が多くの異なるドナー細胞タイプの再プログラム化に使われていることが多い。REST(RE1-silencing transcription factor)やGroucho(別名TLE)など、ほとんどの発生抑制因子は細胞系譜特異的な抑制因子と考えられており、同一の転写因子の組み合わせが、これほど多くの異なるドナープログラムをサイレンシングできる仕組みは不明である。異なるドナー細胞タイプでは、異なる細胞系譜の抑制因子が誘導されているはずである。本研究で我々は、マウスの繊維芽細胞からニューロンへの再プログラム化を研究し、汎ニューロン特異的転写因子Myt1-like(Myt1l)が、ニューロンプログラムを除いたさまざまな多数の体細胞系譜プログラムを直接抑制することにより、そのニューロン分化促進性機能を発揮することを示す。Myt1lの抑制機能は、これまで未解明であったN末端ドメインにSin3bを含む複合体が結合して呼び込まれることにより、仲介される。この抑制機能と一致して、Myt1lのゲノム結合部位はニューロンと繊維芽細胞で類似しており、選択的にオープンクロマチン形態をとっている。Notchシグナル伝達経路は、Hes1をはじめとするいくつかの経路因子のサイレンシングを介して、Myt1lにより抑制される。発生段階のマウス脳におけるMyt1lの急激なノックダウンがNotchの機能獲得表現型と類似したことは、正常発生において、Myt1lは新生ニューロンをNotchの活性化から回避できるようにしていることを示唆する。初代有糸分裂後ニューロンでMyt1lを枯渇させると、非ニューロンプログラムの抑制が解除され、ニューロン性の遺伝子発現と機能が損なわれたことから、多くの体細胞系譜プログラムは、ニューロンのアイデンティティーを維持するために、Myt1lによって能動的かつ持続的に抑制されていることが示唆される。今回の結果から、他の細胞運命についても、同様の「多くの細胞系譜を対象とするが、1つを例外とする」細胞系譜抑制因子が存在するとの推測が生じる。このような抑制因子は、系譜特異的活性化因子との組み合わせで、ニューロン以外の細胞タイプの再プログラム化で用いるための主要な候補となるだろう。

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