Letter
神経科学:ショウジョウバエにおける既学習情報の再評価
Nature 544, 7649 doi: 10.1038/nature21716
動物は、行動を最適化するために、学習した情報の信頼度を常に評価している。一度固定した長期記憶も、検索の際、もし学習に基づく予測が正しくなければ、消去によって中立化される。もし正しければ、記憶が不安定な再固定の期間を経て、取り出された記憶は維持され得る。消去や再固定は、ヒトの問題のある記憶を解消する機会を提供するが、記憶更新についての詳しい機構的理解は進んでいない。今回我々は、ショウジョウバエ(Drosophila)で、記憶の再評価の基盤となる神経活動を明らかにする。報酬強化性の嗅覚記憶を再生すると、予測の正確性に応じて消去または再固定が起きる。それぞれの過程は、キノコ体の出力回路の特定部分と、強化を担うドーパミン作動性ニューロンの別個の細胞群の活動を引き起こす。記憶の消去にはキノコ体のαおよびα′葉に樹状突起を持つ出力ニューロンが必要で、これらは隣接領域に軸索を送る負の強化性ドーパミン作動性ニューロンを駆動する。これらの新たな消去記憶の嫌悪価が、それ以前に学習したにおい選好を中立化する。一方、記憶再固定にはγ2α′1キノコ体出力ニューロンが必要である。この経路は同一区画にある負の強化性ドーパミン作動性ニューロンを動員して正の強化性ドーパミン作動性ニューロンを再駆動し、元の報酬記憶を再固定する。これらのデータから、キノコ体出力ニューロンとドーパミン作動性ニューロンの間の反復的かつ階層的な結合が、報酬予測の誤りによって駆動される記憶の再評価を可能にしていることが分かった。

