素粒子物理学:GERDAによる76Geのニュートリノレス二重β崩壊のバックグラウンドのない探索
Nature 544, 7648 doi: 10.1038/nature21717
素粒子物理学の標準模型の多くの拡張版では、宇宙において反物質よりも物質が圧倒的に多いことを、ニュートリノがそれ自身の反粒子であることによって説明している。ニュートリノが自身の反粒子であれば、ニュートリノレス二重β崩壊の存在が示唆される。この崩壊は、レプトン数を破る非常にまれな放射性崩壊過程であり、その検出には最大限にバックグラウンドを抑制する必要がある。この崩壊の検出を目的とするさまざまなプログラムの中で、GERDA Collaborationは、76Geを濃縮してその割合を高めたゲルマニウムでできた裸の検出器を液体アルゴン中で動作させることによって、76Geのニュートリノレス二重β崩壊を探索している。我々は、フェーズIのデータ取得を完了させ、最近フェーズIIを開始した。今回我々は、GERDAフェーズIIにおいて、約10−3 counts keV−1 kg−1 yr−1のバックグラウンドレベルを達成したことを報告する。これは、露出を設計レベルまで増やしても実験にバックグラウンドがないことを意味している。このレベルは、アクティブveto(バックグラウンド除去)系の使用、ゲルマニウム検出器の優れたエネルギー分解能、新しい検出器のバックグラウンド認識の向上によって達成された。フェーズIとフェーズIIのデータを合わせても、ニュートリノレス二重β崩壊の信号は見られず、我々は、90%の信頼水準で下限半減期を5.3 × 1025年と推定した。今回の4.0 × 1025年という半減期感度は、今回よりもかなり大きな同位体質量を用いた最良の実験結果に匹敵する。今回ニュートリノレス二重β崩壊の本質的にバックグラウンドのない探索の可能性が示されたことで、ニュートリノが自身の反粒子かどうかの解明に近づく感度レベルのより大規模なゲルマニウム実験が促進されるであろう。

