Letter
材料科学:酵素を用いる無機化によって、機械的性質を調節できる超高剛性・高靭性ヒドロゲルが生成される
Nature 543, 7645 doi: 10.1038/nature21392
動物の軟骨や皮膚は、50%以上が水で構成されており、靭性が高く破壊されにくい(破壊エネルギーは最高で9000 J m−2)ばかりでなく、剛性もかなり高い(弾性係数は最高で100 MPa)。そうした特徴を持つため、これらの生体材料は、既存の合成ヒドロゲルよりも機械的特性に優れている。最近、高靭性ヒドロゲルの合成に進歩が見られ、皮膚の靭性を実現したダブルネットワークヒドロゲルや、一層優れた性能を示す無機–有機複合材料が得られている。しかし、これらの材料の靭性は高い伸縮性によるものである。剛性に関しては、合成ヒドロゲルは天然ヒドロゲルに及ばず、最も優れた例でも弾性係数は10 MPa未満でしかない。以前我々は、炭酸カルシウムを含有するヒドロゲルが酵素に誘発されて析出して結晶化することを報告したが、得られたヒドロゲル材料はもろかった。今回我々は、ポリマーヒドロゲル中に均一に分布した非晶質リン酸カルシウムナノ構造体が、酵素に誘発されて生成されることを報告する。今回得られた最も優れた材料は、水で十分膨潤させた状態でも破壊エネルギーが1300 J m−2である。この値は、水で膨潤させた既知の合成材料の大半よりも高い。また我々は、軟骨や皮膚を大きく上回る440 MPaまでこの材料の剛性を調節することもできた。さらに、今回の高充填複合材料は、光学的に透明になるよう設計することや、切り欠きを入れた場合でも伸縮性をおおむね維持するよう設計することができる。我々は、今回の均一無機化ヒドロゲルの機械的特性、特に高い剛性は、パーコレーションによってもたらされることを示す。

