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細胞生物学:管状小胞体ネットワークの精製した構成成分による再構築

Nature 543, 7644 doi: 10.1038/nature21387

細胞小器官は、その小器官が細胞で果たす機能と密接に結び付いた特徴的な形態を示すが、細胞小器官の形がどのようにして出来上がるのかについてはほとんど分かっていない。小胞体は、膜からなる管状構造が相互に接続する動的ネットワークなど、形態的に異なるドメインから構成されているため、特に関心が持たれている。ネットワーク形成には複数の膜タンパク質が関わっていることが示されているが、それらが具体的にはどのようにネットワーク形成に関わっているのか、また、それらの全てが形成に必要なのかどうかは分かっていない。今回我々は、精製した小胞体タンパク質を用いて、管状の膜が作る動的なネットワークを再構築した。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)から得た膜融合に関わるGTPアーゼSey1pと、湾曲構造を安定化させるタンパク質Yop1pを含むプロテオリポソームは、GTPを加えると管状ネットワークを形成した。この管状構造は、Sey1pのGTP加水分解を阻害すると速やかに断片化し、ネットワークの維持には持続的な膜融合が必要であり、Yop1pは大きく湾曲した膜構造を生じさせやすいことが示唆された。Sey1pはまた、他の生物種に由来するレティキュロンやREEP(receptor expression-enhancing protein)などの他の湾曲構造安定化タンパク質ともネットワークを形成する。Sey1pの脊椎動物オルソログであるアトラスチンは、単独でGTP加水分解依存的ネットワークを形成し、膜融合タンパク質と湾曲構造安定化タンパク質の両方として働く。我々の結果は、細胞小器官の形態は意外なほど少数のタンパク質の組み合わせによって作り出すことが可能であり、こうした形態は、形成と解体の間にあるエネルギー依存的定常状態に当たることを示している。

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