Letter

比較ゲノミクス:四日熱マラリア原虫と卵形マラリア原虫のゲノムからマラリア寄生虫の進化についての手掛かりが得られる

Nature 542, 7639 doi: 10.1038/nature21038

ヒトに感染するプラスモジウム属(Plasmodium)の種の進化史や種間の近縁性の解明は、ヒトへの感染が可能な3つの種[四日熱マラリア原虫(P. malariae)、2種の卵形マラリア原虫(P. ovale curtisiおよびP. o. wallikeri)]についての遺伝的情報が欠如していることが障害となっている。これらの種は、マラリアが風土病であるほとんどの地域で蔓延しており、光学顕微鏡検査では検出できないことも多く、ヒト集団における研究を困難にしている。これらの種とヒトへの感染が可能な他の種との正確な進化的関係については議論が続いている。今回我々は、四日熱マラリア原虫の新しい参照ゲノムと手作業でキュレートしたP. o. curtisiの概要ゲノムを用いて、これらの種をプラスモジウム属系統内で正確に位置付けることができた。四日熱マラリア原虫と同系統でチンパンジーに感染する種の塩基配列解読から、この系統と、ヒトとチンパンジーの両方の宿主に定着できることが分かっている別のプラスモジウム属系統に、同様の選択のシグネチャーがあることが明らかになった。分子年代推定から、こうした宿主への適応は同様の進化的時間スケールで起こったことが示唆される。種間で保存されているコアゲノムに加えて、遺伝子含量の差異は、それらの種に特異的な生物学的性質に関連付けることができる。ゲノムから、四日熱マラリア原虫が、赤血球への侵入に重要なあるタンパク質に類似した構造を持つヘテロ二量体タンパク質ファミリーの1つを表面に発現していることが示唆される。今回示したデータは、プラスモジウム属全体の進化についての手掛かりを提供する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度