Letter
地球科学:水の相殺的な影響が全球の陸域の二酸化炭素シンクの年々変化と気温を結び付ける
Nature 541, 7638 doi: 10.1038/nature20780
観測された大気中の二酸化炭素増加率の大きな経年変動は、主に陸域生態系による炭素の取り込みの変動に起因している。しかし、気温と水の利用可能量が、さまざまな空間スケールと時間スケールにわたって、陸域生態系の炭素収支をどの程度支配しているのかはまだよく分かっていない。今回我々は、渦相関データに基づく経験的モデルとプロセスモデルを使って、総一次生産(GPP)、陸域生態系呼吸(TER)、純生態系交換(NEE)に、気温と水の利用可能量の変化が局所スケールや全球スケールで及ぼす影響を調べた。我々は、水の利用可能量がGPPとTERの局所的な年々変動を主に駆動していることを見いだした。これは局所スケールでのNEEにもある程度当てはまるが、全球で積算すると、NEEの時間変動は主に気温変動によって駆動されている。我々は、この見かけ上の矛盾が、2つの水の相殺的な影響で説明できることを示す。水に駆動されるGPPとTERの時間変動は局所的に相殺するため、水に駆動されるNEEの変動が減衰する。水の利用可能量の空間偏差も相殺し、残るのは陸域炭素シンクの年々変動における支配的な気温のシグナルである。こうした知見は、陸域の炭素収支の年々変動を調節する際の気温や水の重要性に関する見かけ上矛盾した報告を両立させるのに役立つ。今回の研究は、空間的な気候の共変動が全球的な炭素循環の応答を駆動することを示唆している。

