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発生生物学:単一細胞における系譜情報の合成記録とin situ読み出し

Nature 541, 7635 doi: 10.1038/nature20777

個々の細胞について、その本来の空間的状況における細胞系譜の関連性や、動的な現象の履歴を再構築することは、生物学における長年の課題である。研究対象となる生物学的過程は、光学的に不透明であったり、物理的に到達しにくい状態にあったりすることが多く、直接的な画像化以外の手法が必要とされている。本研究で我々は、細胞系譜情報や現象の履歴をゲノムに記録させ、次いで単一細胞からin situで読み出しすることができる合成システムについて報告する。MEMOIR(memory by engineered mutagenesis with optical in situ readout)と命名したこのシステムでは、スクラッチパッドと呼ばれるバーコード記録要素のセットを用いる。特定のスクラッチパッドの状態は、CRISPR/Cas9による標的化変異導入により不可逆的に変化させることができ、その後、多重の単一分子RNA蛍光ハイブリダイゼーション(smFISH)により単一細胞レベルで読み出される。我々はMEMOIRを概念の証明として用い、複数のスクラッチパッドと他の記録要素を含むマウス胚性幹細胞を作製した。これらの細胞では、スクラッチパッドは細胞増殖に伴い漸進的かつ確率論的様式で変化した。単一細胞でのスクラッチパッドの最終的な状態をin situで解析したところ、細胞コロニーからの系譜情報を再構築することができた。さらに同一細胞での内因性の遺伝子発現と再構築した細胞系譜を組み合わせて解析することで、胚性幹細胞が2つの遺伝子発現状態を切り替える動的速度を推測することもできた。また我々は、シミュレーションを用い、同一細胞で稼働する並列MEMOIRシステムにより、動的な細胞現象の履歴が記録され読み出される仕組みを示す。従って、MEMOIRは、多様な生体システムにおいて、情報を記録し、in situで単一細胞から読み出すための用途の広いプラットフォームを提供する。

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