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創薬:CCR9受容体の細胞内アロステリック拮抗作用

Nature 540, 7633 doi: 10.1038/nature20606

ケモカインとそのGタンパク質共役受容体は、免疫細胞の移動、活性化や生存を制御することで、免疫防御に多様な役割を果たしている。これらは、ウイルスの侵入、腫瘍の増殖と転移にも関与しており、そのために多様な疾病で重要な薬剤標的となっている。ケモカインとその受容体群を標的とする小分子薬は50種類以上が臨床開発に入っていて、製薬企業は薬剤開発に多大の努力をしているにもかかわらず、市場に出た化合物はHIV感染に対するマラビロク(CCR5に結合)と幹細胞動員を促進するプレリキサフォル(CXCR4アンタゴニスト)の2つだけである。こうした高い失敗率の原因の一部は、ケモカインアンタゴニストの作用機構が完全に解明されていないことと、構造情報がないために化合物を最適化できないことであると考えられる。CCL25によるCCケモカイン受容体9型(CCR9)の活性化は、腸への白血球動員に重要な役割を果たしていて、炎症性大腸炎の治療標的の1つである。CCR9の選択的アンタゴニストであるvercirnonはクローン病の第III相臨床試験に進んだが、有効性が限られていて、受容体活性化遮断に非常な高用量が必要であった。本論文では、vercirnonと複合体を形成したCCR9の2.8 Å分解能での結晶構造を報告する。注目すべきことに、vercirnonは受容体の細胞質側の部分に結合しており、アロステリックな拮抗作用を発揮してGタンパク質との連結を阻害している。この結合部位は、比較的脂溶性の高いリガンドの必要性を説明するものであり、Gタンパク質共役受容体のアロステリック部位のもう1つの例を示している。これは、薬剤設計の標的となり得る部位であり、こうした設計はCCR9のみでなく他のケモカイン受容体にも拡張できる可能性がある。

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