構造生物学:クロマチンリモデリング因子ISWIの構造と調節
Nature 540, 7633 doi: 10.1038/nature20590
ISWIは、クロマチンリモデリング因子のSWI2/SNF2ファミリーのメンバーで、このファミリーには他にもSnf2、Chd1、Ino80が含まれる。ISWIは複数のクロマチンリモデリング複合体を触媒するサブユニットであり、ヌクレオソームをゲノムDNAに沿って動かすことで、複製の進行や転写の抑制、ヘテロクロマチンの形成など多くの核内プロセスを促進する。ISWIのATPアーゼモーターは自律的なリモデリング装置だが、ISWIのカルボキシ(C)末端HAND–SAND–SLIDE(HSS)ドメインはヌクレオソーム外のリンカーDNAとの結合において機能する。ISWIの触媒コアの活性は調節性のAutoNおよびNegCドメインによって抑制され、その後AutoNドメインはH4尾部、NegCドメインはヌクレオソーム外DNAによって拮抗されることで、細胞内での適切なクロマチンの全体像が確保される。AutoNやNegCがISWIを抑制して、ISWIが持つ、ヌクレオソームを中心に移動させる活性を調節する仕組みは、まだ解明されていない。今回我々は、好熱性酵母Myceliophthora thermophilaに由来するISWI、およびISWIとヒストンH4ペプチドとの複合体の結晶構造を報告する。得られたデータから、アミノ(N)末端のAutoNドメインには2つの抑制性エレメントが含まれており、これらが共に2つ目のRecA様ドメイン(core2)に結合して、ISWIを不活性なコンホメーションに保つことが分かった。H4ペプチドがcore2ドメインに結合する部位はAutoN結合部位の1つに一致することから、H4によるISWIの活性化が説明される。このH4結合表面はSnf2で保存されており、AutoNによる調節を越えた機能を果たしている。C末端のNegCドメインはcore2ドメインとの結合に関与し、ISWIがヌクレオソーム外DNAの長さに応答するためのアロステリックエレメントとして機能している。

