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酵素生物学:ニコチンアミド依存性酵素への光照射による非天然型反応性の実現

Nature 540, 7633 doi: 10.1038/nature20569

酵素は、古典的な合成方法に勝る効率と選択性を示すとともに、基質と選択性の特異的パターンに合わせて化学組成を調節できるため、化学工業による不斉触媒反応用として理想的である。しかし、酵素は自然界に見られる反応に限定されるため、酵素が促進する変換反応の種類は他の形態の触媒反応より少ない。従って、生物学的過程を介する触媒反応の分野では、新しい触媒機能を持つ酵素を開発することが長年の課題となっていた。今回我々は、ニコチンアミド補因子(酵素による触媒反応を助ける分子)の光励起状態を用いて触媒機能の幅広い許容性(catalytic promiscuity)を実現する方法を報告する。可視光照射の下で、ケトレダクターゼと呼ばれるニコチンアミド依存性酵素は、カルボニルレダクターゼからラジカル種の開始剤とキラルな水素原子源に変換され得る。我々は、この新しい反応性を、ラクトンの高エナンチオ選択的ラジカル脱ハロゲン化を通して実証した。この脱ハロゲン化反応は、小分子触媒では実現が難しい変換反応である。また、機構的実験によって、この反応ではラジカル種が中間体として働き、NADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)やNADPH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)が光還元剤と水素原子源の両方の役割を果たすという説が裏付けられた。この方法は我々の知るかぎり、光誘起によって酵素機能の幅広い許容性が実現された最初の例であり、一般的な生体補因子の励起状態を用いるだけで既存の酵素から新しい反応性が実現される可能性を明らかにしている。また、今回の手法は、補因子再生との関連で検討されることが多い既存の光駆動生体触媒技術とは異なるものである。

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