タンパク質設計:設計されたタンパク質が誘導するナノケージを持つ細胞外小胞の形成
Nature 540, 7632 doi: 10.1038/nature20607
複雑な生物学的過程は、複数種の高分子からなる自己組織化するナノ構造によって実行されることが多い。こうした構造の例としては、リボソーム(タンパク質とRNA)やエンベロープを持つウイルス(タンパク質と核酸、脂質)が挙げられる。核酸、あるいはタンパク質からなる自己集合構造を設計するための方法はいくつか開発されたが、ハイブリッド生物材料を作り出す戦略は登場し始めたばかりである。今回我々は、ヒト細胞から小型小胞内部へと、一部のウイルスに似たやり方で自分自身の放出を誘導する自己集合型タンパク質、ナノケージの設計について報告する。我々は、このようなハイブリッド生体材料を、「エンベロープを持つタンパク質ナノケージ(EPN)」と命名した。ロバストなEPNの生合成には、膜結合と自己集合、それにESCRT(endosomal sorting complexes required for transport)装置の動員という、3つの機能をコードしたタンパク質配列エレメントが必要とされる。これらの機能エレメントを持つ一連の合成タンパク質はEPN生合成を誘導し、この設計戦略のモジュール性と一般性がはっきりした。設計されたものの1つであるEPN-01は、設計された60サブユニットからなる自己集合する足場構造にぴったり合うタンパク質ナノケージ複数を含む小型(約100 nm)小胞からなることが、生化学解析と低温電子顕微鏡法により明らかになった。水胞性口内炎ウイルス糖タンパク質を取り込んだEPNは標的細胞と融合でき、その内容物を送達するので、この過程によって1つの細胞からもう1つの細胞へと積み荷が輸送される。これらの結果は、複雑な仕事を行うハイブリッド生体材料の形成を誘導するためのタンパク質のプログラム方法を示していて、EPNが細胞間で分子を輸送可能なように設計された、モジュール性で、また遺伝的にコードされたナノ材料の1種であることを確証している。

