微生物学:mavirusヴィロファージの宿主ゲノムへの組み込みと巨大ウイルスによる再活性化
Nature 540, 7632 doi: 10.1038/nature20593
内在性ウイルスエレメントは真核生物のゲノムの中に見つかってきているが、その起源や動態、機能については、ほとんど知られていない。本論文で我々は、真核生物のゲノムに容易に組み込まれ、誘導性の抗ウイルス防御システムとして働く非常に興味深いDNAウイルスの例を示す。我々は、Cafeteria roenbergensisウイルス(CroV)という巨大ウイルスの寄生体であるmavirusヴィロファージが、海洋性原生動物であるCafeteria roenbergensisの核ゲノム内において、多数の箇所に組み込まれていることを発見した。内在性のmavirusは構造的にも遺伝子レベルでもMaverick/Polintonファミリーである真核生物のDNAトランスポゾンや内在性ウイルスに類似している。プロヴィロファージの遺伝子は構成的には発現していないが、CroVの重複感染によって特異的に活性化され、感染性のmavirus粒子の産生を誘導する。ヴィロファージは、ミミウイルス様の巨大ウイルスの複製を阻害することが可能であり、プロヴィロファージが宿主への抗ウイルス防御効果を有していると考えられてきた。プロヴィロファージを有する細胞はCroVから直接防御できないが、これらの細胞の溶解が感染性のmavirus粒子を放出することになり、その結果、CroVの複製を抑制して引き続いて起こる感染周期において宿主の生存を高めることができることを我々は見いだした。今回示した微生物宿主と寄生体との相互作用は、利他的な側面を持ち、巨大ウイルスによるプロヴィロファージの活性化は、自然界の原生生物集団において生態学的な関連性を持つ可能性を示唆している。

