Letter
微生物学:ミクロシンは炎症の起こっている腸管で腸内細菌科の細菌間に競争を引き起こす
Nature 540, 7632 doi: 10.1038/nature20557
腸内細菌科(Enterobacteriaceae)はグラム陰性細菌の1科であり、この科には片利共生細菌に加えて、世界的に罹病および死亡の大きな原因となっている一次病原体や日和見病原体が含まれる。腸内細菌科菌は健康な腸内微生物相の1%に満たない場合が多いが、これらの細菌の一部は炎症を生じた腸管で爆発的に増殖する場合があり、腸内細菌の増加はディスバイオーシスとして知られる微生物相のバランスの乱れの特徴である。ミクロシンは小型の分泌タンパク質であり、in vitroでは抗微生物活性を示すが、in vivoでの役割は未解明であった。今回我々は、腸管の炎症発症時に、ミクロシンによって、プロバイオティクス細菌のEscherichia coli Nissle 1917(EcN)が競合する腸内細菌科菌(病原体および病原性共生体を含む)の増殖を制限する能力を持つようになることを明らかにする。ミクロシンを産生するEcNは、炎症を生じた腸管で片利共生大腸菌、接着性侵入性大腸菌、および近縁の病原体であるSalmonella entericaなどの競合相手となる菌の増殖を制限した。また、前もってS. entericaに感染させたマウスでは、野生型のミクロシン産生性EcNを治療用に投与するだけで、S. entericaの腸管への定着が大幅に抑制された。本研究は、炎症を生じた腸管で、ミクロシンが腸内細菌科菌の種間および種内競争を生じさせることを示す最初の証拠を提示している。さらに、ミクロシンは腸内の病原体を阻害して腸内細菌科菌の爆発的増殖を抑制する狭域治療薬として作用可能であることも明らかになった。

