Article

免疫学:S-2-ヒドロキシグルタル酸はCD8+ Tリンパ球の運命を調節する

Nature 540, 7632 doi: 10.1038/nature20165

R-2-ヒドロキシグルタル酸は、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1/2の機能獲得変異を持つがん細胞でミリモル濃度にまで蓄積する。この濃度のR-2-ヒドロキシグルタル酸は、2-オキソグルタル酸依存型ジオキシゲナーゼに影響を与える。代謝産物のエナンチオマーであるR-およびS-2-ヒドロキシグルタル酸はいずれも健常者で検出されるが、その生理機能は明らかになっていない。今回我々は、マウスでは2-ヒドロキシグルタル酸がT細胞受容体刺激に応じてCD8+ T細胞に蓄積し、生理的な酸素条件下で低酸素誘導因子1α(HIF-1α)依存的な機構を介して、ミリモル濃度にまで蓄積することを示す。活性化T細胞ではS-2-ヒドロキシグルタル酸がR-2-ヒドロキシグルタル酸に対して優勢で、この代謝産物に反応してCD8+ T細胞分化のマーカーに変化が生じることが分かった。ヒストンとDNAメチル化、またHIF-1αの安定性の変化が、このような影響を仲介している。養子移入したCD8+ T細胞は、S-2-ヒドロキシグルタル酸の投与によってin vivoでの増殖、生存および抗腫瘍能が大幅に増強される。従ってS-2-ヒドロキシグルタル酸は、環境という状況を、代謝産物–エピジェネティック経路を介して免疫の運命と機能に結び付ける免疫関連代謝産物(immunometabolite)として作用している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度