気候科学:過去750万年にわたって持続的で動的であった東グリーンランド氷床
Nature 540, 7632 doi: 10.1038/nature20147
複数の気候モデルが、今後数百年にわたって氷床の融解が海水準上昇を支配することを示しているが、12万5000年前の最終間氷期以前の氷床変動に関する我々の理解はまだ断片的である。これは、太古の氷期や間氷期の陸上堆積物が、より近い時代の氷河前進によって覆われ、侵食されているので、一般的にまばらで孤立しており、年代決定が十分でないためである。これに対して、ほぼ連続的に大陸から流れ落ちた物質は、海洋堆積物として保存され、この堆積物を分析して、時間的に変化する主要な氷床の状態を推測できる。今回我々は、東グリーンランド氷床が過去750万年にわたって存在したことを示す。この結果は、陸上で現在も進行している氷河侵食によって除去され、沖合で堆積した、海洋堆積物記録中の珪砂に含まれるベリリウム同位体(10Be)とアルミニウム同位体(26Al)によって示された。前期更新世には、東グリーンランドを覆う氷は動的であった。対照的に、中期から後期更新世には、東グリーンランドの大半が氷に覆われていた。我々が示す同位体記録は、主要な気候遷移と同時に生じた氷床の挙動変化の明確な特徴と一致している。今回のデータは、連続的ではあるが、堆積速度の遅い場所で得られたものであり、東グリーンランドからしか得られていない。従って、短くて強い間氷期における広範囲の退氷を示す証拠は、見逃されていたり不明瞭だったりする可能性があり、東グリーンランドの高地に残った氷床と縮小した大陸全体の氷床を区別できない。堆積速度がより速い掘削地点から得られる10Beと26Alの記録によって、過去、そして究極的には将来の温かい間氷期における氷床の挙動に対するより明確な制約条件がもたらされる可能性がある。それでもなお、今回の分析結果は、過去数百万年にわたる完全な退氷や広範囲の退氷の可能性に異を唱えるものである。

