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がん:胚細胞腫瘍におけるゲノム進化と化学療法抵抗性

Nature 540, 7631 doi: 10.1038/nature20596

胚細胞腫瘍(GCT)は生殖細胞へと分化する胚細胞から生じ、精巣において最も頻繁に起こる。GCTは組織学的に不均一で、化学療法により治癒できることが分かっている。GCTでは染色体腕12pの獲得や異数性がほぼ普遍的に見られるが、腫瘍のイニシエーション、化学療法感受性、プログレッションの原因となる体細胞ゲノムの特異的な特徴は、完全には明らかにされていない。今回我々は、ヒトGCTの前駆段階の細胞、原発性腫瘍(精巣および縦隔)、化学療法抵抗性転移腫瘍について、臨床的な全エキソームおよびトランスクリプトームの塩基配列解読を行い、GCTの主要な体細胞的特徴が、高頻度に起こる染色体腕レベルの増幅とRLOH(reciprocal loss of heterozygosity)であり、他の19種類の腫瘍と比較すると、GCTでは多様性が非常に豊富であることを示す。また、これらの腫瘍は前駆段階の細胞から原発性腫瘍まで進む際にKRAS変異も獲得する。原発性の精巣GCT(TGCT)ではTP53は一様に野生型であった。さらに、新鮮な腫瘍と隣接組織についてアポトーシスシグナル伝達の機能を測定(BH3プロファイリング)したところ、原発性TGCTではミトコンドリアのプライミングが増強されているため、化学療法誘発性のアポトーシスが促進されることが分かった。化学療法抵抗性が生じたTGCTについて連続的に系統発生学的解析を行い、TGCTがさらにRLOHを獲得する仕組みや、これが化学療法抵抗性の奇形腫あるいは形質転換した上皮性悪性腫瘍において多能性マーカー(NANOGおよびPOU5F1)の喪失と関連していることを示す。我々の結果は、この疾患の起源の根底にあるゲノムの特徴や、化学療法感受性表現型に関連したゲノムの特徴、さらにGCTが化学療法抵抗性にはまれにしかプログレッションしないことを示している。これらの結果は、がんゲノミクス、ミトコンドリアのプライミング、GCTの進化の収斂を明らかにし、また他のがんでの化学療法への感受性や抵抗性を理解する手掛かりになるかもしれない。

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