惑星科学:冥王星の歴史の初期に急速に形成されたスプートニク平原
Nature 540, 7631 doi: 10.1038/nature20586
冥王星のスプートニク平原は、極氷冠に似たほぼ円形の明るい地形である。スプートニク平原は、さしわたし約1000 kmで、中心は北緯25度、経度175度にあり、潮汐固定(tidal locking)のためカロンに常に同じ面を向いている冥王星の側のほぼ正反対に存在する。その位置に関する説明の1つとしては、巨大な衝突による盆地の形成と、その後に起こった高密度な内部の海の隆起が考えられる。盆地がいったん形成されれば、そこに自然に氷が堆積したと考えられる。その後、盆地が正の重力異常を示していたとすれば、海の有無にかかわらず、この地形が真の極移動によって、冥王星–カロンの潮汐軸に向かって冥王星のカロンを向いている面とは反対側に移動した可能性がある。本論文では、盆地が存在しない場合でも、冥王星の北緯30度および南緯30度付近で、氷が急速に堆積したことを示すモデルについて報告する。これらの緯度域は、冥王星の軌道周期にわたって平均した際、最も低温になる領域であり、そのため氷の急速な堆積が起こったと考えられる。カロンの形成後100万年以内に、冥王星表面の氷堆積物は、暴走的なアルベド効果によって緯度30度付近を中心とする単一の氷冠へと集まった。これによって正の重力シグネチャーが生じ、冥王星の自転が減速するにつれて、カロンを向く面とは正反対の経度に固定された。一度固定されると、カロンは冥王星に永続的な潮汐バルジを隆起させ、結果として氷冠の重力シグネチャーが増大した。一方、スプートニク平原の氷の重さによって、その下の地殻が沈み込み、地球上のグリーンランドで起こったことと同様に自ら盆地を形成した。スプートニク平原は現在中程度の負の重力異常を示しているものの、カロンに起因する永続的な潮汐バルジの隆起のため、同じ位置に固定されたままである。緯度30度域からのいかなる移動も、氷冠の最も低温な端領域付近の氷の選択的な再凝結によって相殺される。従って、今回のモデルは、スプートニク平原がカロンの形成直後に形成され、太陽系の進化とともに徐々に体積を失ってはいるが、安定して存在し続けていることを示唆している。

