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幹細胞:mTORの阻害は多能性状態での一時停止を誘導する

Nature 540, 7631 doi: 10.1038/nature20578

培養多能性幹細胞は、体のあらゆる種類の細胞を生じることができるため、再生医療の要となる。多能性幹細胞は、in vitroでは際限なく増殖させることができるが、それに反してin vivoでの多能性は一過性の状態であり、持続するのは胚盤胞着床前後の2~3日間である。この通例の例外は、不利な条件によって引き起こされる可逆的な発生停止状態「胚休眠」である。休眠は、哺乳類を含む動物界全体で広く用いられている生理的生殖戦略であるが、その調節はほとんど明らかにされていない。本論文では、主要な栄養センサーおよび増殖促進因子であるmTOR(mechanistic target of rapamycin)の部分的な阻害が、マウス胚盤胞発生の可逆的な停止を誘導し、胚盤胞の長期ex vivo培養を可能とすることを示す。停止した胚盤胞は多能性および生存能を維持し、胚性幹(ES)細胞および生きた生殖可能なマウスを生じることができる。我々は、in vivoで自然に休眠した胚盤胞およびex vivoで停止した胚盤胞は共に、mTOR活性、翻訳、遺伝子活性と関係するヒストン修飾、および転写が顕著に抑制されていることを明らかにする。停止は、培養ES細胞に対して直接誘導でき、大規模な細胞死または細胞周期分布からの逸脱を生じることなく数週間にわたって維持できた。停止したES細胞は著明な全体的転写抑制を示し、休眠胚盤胞の遺伝子発現シグネチャーを維持しており、多能性を失っていないことが分かった。以上の結果は、休眠胚盤胞の胚盤葉上層に相当する新たな多能性幹細胞状態を明らかにし、着床前後の段階でmTORが発生のタイミングを調節することを示している。今回の知見は、生殖補助医療、再生医療、がん、代謝障害、および老化の分野に影響を与えるものである。

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