細胞生物学:SNDタンパク質は小胞体へ向かうもう1つの経路を構成する
Nature 540, 7631 doi: 10.1038/nature20169
真核生物では、細胞のタンパク質の3分の1までが小胞体に向けて輸送(ターゲッティング)され、そこで折りたたみ、プロセシング、ソーティングを受けてから、次の内膜区画に送られる。小胞体へ向かう輸送はシグナル認識粒子(SRP)経路によって翻訳と同時に起こるか、もしくは哺乳類のTRC40(transmembrane recognition complex of 40 kDa)経路や酵母のそれと相同なGET(guided entry of tail-anchored protein)経路によって翻訳後に起こることが示されている。これらの2種類の経路によって運ばれるタンパク質は広範囲にわたるが、なお多数のタンパク質がSRP経路とGET経路の両方に無関係であることが知られていて、小胞体への供給専用のまた別の補助的経路が不可欠であると考えられる。我々は、偏りのないハイコンテントスクリーニング法を用いて、ターゲッティングに関わる別のタンパク質を明らかにすることを試みた。この目的のために、我々は出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)を用いた系統的なビジュアルスクリーニングを行い、欠損がターゲッティングに影響を与える3つの性質不明のタンパク質を明らかにした。我々はこれら3つのタンパク質は協働していると考え、広範囲にわたる基質の小胞体に向かう輸送(SRP経路およびGET経路と並行して働いている)にこれらが関わっていることを実証した。SRP-independent targetingからSnd1、Snd2、Snd3と名付けたこれら3つのタンパク質は、SRP経路とGET経路の両方が失われても、小胞体へ向かう輸送を合成的に補償でき、バックアップのターゲッティング系として機能する。この知見は、一部の基質の小胞体へ向かう輸送を完全に消滅させることがこれまで困難であった理由を説明するものである。従って今回の結果は、小胞体に向かう輸送というパズルの重要なピースを正しい位置に収めたもので、真核細胞のターゲッティング装置がロバストで相互に連結しており、かつ柔軟性があることを明確に示している。

