免疫学:チェックポイント阻害療法に対する耐性を骨髄細胞でのPI3Kγ標的化によって克服する
Nature 539, 7629 doi: 10.1038/nature20554
免疫療法を用いた最近の臨床試験により、免疫系の抑制解除によってがんを制御できる可能性が実証されている。CTLA-4(cytotoxic-T-lymphocyte-associated protein 4)やPD-1(programmed cell death protein 1)/PD-L1(programmed death-ligand 1)に対する免疫チェックポイント阻害(ICB)抗体は、さまざまながんで持続的な臨床応答を示してきた。これらの新たな免疫療法はがん治療に顕著な効果を示すが、腫瘍には多数の免疫耐性機構が存在している。その主要な機構の中で、骨髄細胞は有効な腫瘍免疫の制限に重要な役割を担っている。免疫抑制性の骨髄細胞の浸潤の多いことが、予後の悪さやICB耐性と相関することを示唆する証拠は増えつつある。こうした観察結果は、このような耐性機構を克服するには、免疫療法の組み合わせ方を腫瘍免疫の全体像に基づいて調整する高精度医療(precision medicine)の手法の必要性を示唆している。本研究では、前臨床マウスモデル系を用い、多様な腫瘍で、ICBに対する耐性が浸潤した骨髄細胞の抑制活性により直接もたらされることを示す。さらに、骨髄細胞で高発現しているPI 3キナーゼ(phosphoinositide 3-kinase)のガンマアイソフォーム(PI3Kγ)を選択的薬剤の標的とするとICBに対する感受性が回復する。PI3Kγを選択的阻害剤[現在、第I相臨床試験(NCT02637531)で評価中]の標的とすることで、腫瘍免疫微小環境の再形成が可能となり、がん細胞を直接標的化することなく、細胞傷害性T細胞による腫瘍退縮を促進できることが分かった。我々の結果は、腫瘍での抑制性骨髄細胞の浸潤が高レベルの患者でICB耐性を克服するのに、IPI-549のようなPI3Kγ選択的小分子阻害剤を用いる新たな併用療法が有効となる可能性を示している。

