Letter

遺伝子調節:lncRNAのプロモーター、転写、スプライシングによる遺伝子発現の局所的調節

Nature 539, 7629 doi: 10.1038/nature20149

哺乳類ゲノムでは至る所で転写が起き、数千種類もの長鎖非コードRNA(lncRNA)が作り出されている。これらlncRNAのいくつかについては、RNA–タンパク質相互作用を介して調節複合体を動員し、近傍の遺伝子の発現に影響を及ぼすことが示されており、他の多くのlncRNAも局所の調節因子として機能し得ると考えられている。このような局所的機能は、lncRNA発現が近傍の遺伝子の発現としばしば相関しているという観察結果の説明となり得る。しかし、これらの相関関係は解明するのが難しく、また、lncRNA転写産物自体が仲介しない過程による別の結果である可能性もある。例えば、一部の遺伝子プロモーターは2つの役割を持つエンハンサーとして機能することが提唱されており、また、転写過程自体が、活性化因子の動員あるいはヌクレオソームのリモデリングよって、遺伝子調節に寄与している可能性がある。今回我々は、マウス細胞株において遺伝的操作を行い、lncRNAを作り出す12のゲノム座位を解析し、そのうちの5座位が隣接する遺伝子の発現にシスに影響を及ぼすことを見いだした。これらの効果のいずれにも特異的なlncRNA転写産物自体は必要ではなかったが、lncRNAの産生に関連する一般的な過程、つまり、遺伝子プロモーターのエンハンサー様活性、転写の過程、および転写産物のスプライシングなどが関与していた。さらに、こうした効果はlncRNA座位に限定されたものではなく、タンパク質をコードする6座位のうち4座位もまた、隣接する遺伝子の発現に影響を及ぼすことが分かった。これらの結果は、隣接する遺伝子間のクロストークが一般的な現象であり、これにはRNAスプライス部位の役割など、複数の機構やシス調節性シグナルが関与し得ることを示している。これらの機構は、lncRNAを作り出すゲノム座位の一部の機能や進化を説明し、また、コード遺伝子および非コード遺伝子の両方の調節に広く寄与する可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度