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幹細胞生物工学:ヒト造血幹細胞でのCRISPR/Cas9によるβグロビン遺伝子ターゲッティング
Nature 539, 7629 doi: 10.1038/nature20134
鎌状赤血球症やβサラセミアなどのβヘモグロビン異常症は、βグロビン(HBB)遺伝子の変異を原因とする疾患で、世界で数百万人が罹患している。βヘモグロビン異常症患者由来の造血幹細胞をex vivoで遺伝子修正して自家移植する方法を用いると、この疾患を治癒できる可能性がある。本論文では、Cas9リボ核タンパク質とアデノ随伴ウイルスベクターによる相同性ドナーの送達とを組み合わせることによって、造血幹細胞のHBB遺伝子で相同組換えを行わせるCRISPR/Cas9遺伝子編集法について報告する。特に、狙った組み込みが90%を超えるまで造血幹・前駆細胞集団を純化する濃縮モデルを我々が考案したことは重要である。また、患者由来の幹・前駆細胞を用いることにより、鎌状赤血球症の原因であるGlu6Val変異が効率的に修正されることも示す。これらの幹・前駆細胞は、赤血球に分化した後に成体βグロビン(HbA)のメッセンジャーRNAを発現することから、編集されたHBB対立遺伝子の転写調節が損なわれていないことが確認された。総合すると、今回の前臨床研究は、造血幹細胞で相同組換えによってHBB座位をターゲッティングする、CRISPRに基づいた方法論の概略を示しており、この方法によってβヘモグロビン異常症の次世代型治療の開発が進むであろう。

