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地球化学:沈み込み帯流体のpHから得られた金属の循環と揮発性物質の循環の関連
Nature 539, 7629 doi: 10.1038/nature20103
水成流体の化学的性質は、地球上の金属と揮発性元素の輸送と交換、つまり循環を制御している。海洋プレートが地球内部へ沈み込んでいる沈み込み帯は、こうした流体を介した化学交換に関する最も重要な地球力学的環境となっている。沈み込み帯の条件下において岩石と平衡を保っている流体のpHとイオン種分化の特徴を明らかにすることは、かねてから地球科学の主要な課題であった。本論文では、沈み込み帯の熱的構造モデルと鉱物学モデル、流体の化学種分化モデルとを結び付ける、流体と岩石の平衡状態の熱力学的予測について報告する。我々は、沈み込んだ地殻岩石内にある流体のpHは、弱アルカリ性の範囲内に限定されており、岩石の揮発性物質と塩素の含有量によって調節されていることを見いだした。顕生代に典型的な冷たい沈み込みは、沈み込むスラブ内に酸化された炭素を保持するのに有利である。対照的に、マントルウェッジ流体のpHは岩石組成の小さな変動に非常に敏感である。岩石組成の変動は、マントル内の分化や、沈み込んだ地殻から抽出されたアルカリ成分に富んだ流体の浸透によって生じている可能性がある。炭素、アルカリ金属、ハロゲンなどの母岩内にあまり存在しない可溶性元素に対してpHが敏感であることは、地球の大気–海洋系の化学的性質と、海水によって変質した海洋リソスフェアの成分を介した沈み込み帯の流体の化学種分化の間のフィードバックを示している。今回の知見から、30億年以上にわたって沈み込み帯の金属の循環と揮発性物質の循環を結び付けてきた制御反応についての見通しが得られる。

