高分子:固有伸縮性と固有修復性を有する有機トランジスター用半導体ポリマー
Nature 539, 7629 doi: 10.1038/nature20102
薄膜電界効果トランジスターは、ウエアラブルエレクトロニクス用の伸縮性電子デバイスに不可欠な素子である。そうしたトランジスターの材料や構成要素は全て、伸縮性と機械的強度に優れている必要がある。近年、伸縮性導体の実現に向けて進展が見られたが、伸縮性半導体の実現については、主として、材料のひずみ対応技術や、エラストマーにナノファイバーやナノワイヤーを混ぜ込むことに重点が置かれてきた。別のアプローチとして、標準的な加工プロセスを適用できるよう、固有伸縮性のある半導体を使用する手法がある。分子の伸縮性は、修飾された側鎖とセグメント化された骨格を持つ共役ポリマーに柔軟な構成要素を組み込むことで、向上する可能性がある。今回我々は、共役ポリマーに動的な非共有結合性架橋部位を導入することによって、半導体ポリマーに伸縮性を付与する設計コンセプトを報告する。これらの非共有結合性架橋部位は、ひずみが加わると、結合の切断を通してエネルギーを散逸することができ、一方で高い電荷輸送能は維持される。結果として、我々のポリマーは、100%ひずみを100サイクルかけた後も、高い半導体性能(1 cm2 V−1 s−1を超える電界効果移動度)を回復できる。この材料から作製した有機薄膜電界効果トランジスターは、1.3 cm2 V−1 s−1という高い移動度と106を超える高いオン/オフ電流比を示した。100%ひずみを加えたときの電界効果移動度は、ひずみに対して垂直な方向で1.12 cm2 V−1 s−1という高い値に維持された。損傷したデバイスの電界効果移動度は、溶媒と熱による修復処理後、ほぼ完全に回復させることができる。最後に我々は、皮膚から着想を得て、ウエアラブルデバイスで想定される変形の下で動作する伸縮性有機トランジスターの作製に成功した。

