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免疫学:PI3Kγは免疫抑制を制御する分子スイッチである
Nature 539, 7629 doi: 10.1038/nature19834
マクロファージは急性および慢性の炎症、またがんにおいて、非常に重要だが全く相反する働きを果たしている。炎症性マクロファージは病原体もしくは傷害に応じてサイトカインを発現し、それが細胞傷害性T細胞を刺激する。しかし、腫瘍性疾患や寄生虫疾患では、マクロファージは抗炎症性サイトカインを発現して、それが免疫抑制を誘導し、またT細胞チェックポイント阻害剤に対する耐性を促進する可能性も考えられている。今回我々は、マクロファージのPI 3キナーゼγが、炎症とがんの際に免疫刺激と抑制を切り替える非常に重要なスイッチを制御していることを示す。AktおよびmTORを介したPI3Kγシグナル伝達は、NFκB活性化を抑制する一方で、C/EBPβ活性化を刺激し、それによって炎症および腫瘍増殖の間に免疫抑制を促進する転写プログラムを誘導する。対照的に、マクロファージPI3Kγの選択的不活化は、NFκB活性化を刺激して活性化を長引かせ、またC/EBPβ活性化を阻害し、それによって免疫刺激性転写プログラムを促進して、それがCD8+ T細胞活性化と細胞傷害性を回復させる。PI3Kγはチェックポイント阻害療法と相助的に働いて、がんのマウスモデルで腫瘍退縮を促進し、生存を延長する。さらに、PI3Kγによって誘導された抗炎症性遺伝子発現は、がん患者での生存確率を予測可能である。従って我々の研究は、マクロファージ極性化状態の間を切り替えるスイッチを調節する細胞内シグナル伝達経路の治療標的化が、がんなどの疾患における免疫抑制を制御し得ることを証明している。

