分子進化学:DNAトランスポゾンがゲノム規模でイントロンを作り出す機構
Nature 538, 7626 doi: 10.1038/nature20110
40年前のイントロンの発見は分子生物学における最も予想外の発見の1つであった。イントロンは遺伝子を分断する塩基配列で、メッセンジャーRNA産生の一環として除去されなければならない。ゲノム塩基配列解読プロジェクトから、ほとんどの真核生物遺伝子には少なくとも1つのイントロンが含まれており、多くの場合、多数含まれることが示されている。これらのゲノムの比較から、イントロンはあまり獲得されなかった長い進化的期間の間に多くのイントロンが急速に獲得されたいくつかのエピソードが明らかになった。そのようなエピソード的なイントロン発生の詳細な機構はいくつか提案されているが、ゲノム規模で実験的に裏付けられているものはない。今回我々は、プラシノ藻の一種Micromonas pusillaおよびペラゴ藻の一種Aureococcus anophagefferensにおいて、短い非自律性DNAトランスポゾンが数百から数千のイントロンを独自に作り出す仕組みを示す。各トランスポゾンは1つのスプライス部位を持つ。もう一方のスプライス部位は、トランスポゾン挿入の際に複製される遺伝子塩基配列から取り込まれることがあり、これによってRNAからの完全なスプライシングが可能になる。取り込むことができる塩基配列の分布はコドンに対して偏りがあり、またトランスポゾンが作り出したイントロンのフェージングも同様に偏っている。これらのトランスポゾンはすでに存在しているヌクレオソームの間に挿入されるので、複数の近傍の挿入によりヌクレオソームサイズの介在断片が生じる。従って、トランスポゾンの挿入と塩基配列取り込みは、真核生物に観察されるイントロンのフェーズの偏りとヌクレオソームサイズのエキソンが広く見られることの説明になるかもしれない。以上より、増殖するエレメントの2つの独立した例から、一般的なDNAトランスポゾン機構が示され、この機構によって真核生物の進化の過程で起こった迅速で大規模なイントロン獲得エピソードを、妥当性をもって説明できる。

