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構造生物学:TRICチャネルの小孔の構造とそのゲート開閉機構に関する考察

Nature 538, 7626 doi: 10.1038/nature19767

細胞内Ca2+シグナル伝達過程は、筋収縮、神経伝達物質の放出、細胞増殖とアポトーシスにとって重要である。細胞内カルシウムストア(貯蔵庫)からのCa2+の放出を支えているのが、筋小胞体や小胞体(SR/ER)にある一群のイオンチャネルである。中でも、三量体細胞内陽イオン(TRIC)チャネルファミリーに属する2種類のアイソフォームTRIC-AとTRIC-Bは、リアノジン受容体やイノシトール三リン酸受容体を介したCa2+放出を調整して、SR/ER内腔のイオンの恒常性を維持している。TRICチャネルの遺伝的な除去あるいは変異は、高血圧、心臓病、呼吸障害、骨粗しょう症と関連付けられている。TRICチャネルはこのようにCa2+シグナル伝達に極めて重要な働きをしているにもかかわらず、その小孔の構造もゲート開閉機構も解明されていない。今回我々は、線虫の一種であるCaenorhabditis elegans由来のTRIC-B1チャネルとTRIC-B2チャネルの構造を、内在性の脂質分子ホスファチジルイノシトール 4,5-二リン酸(PtdIns(4,5)P2、別名PIP2)と複合体を形成した状態で明らかにした。TRIC-B1/B2タンパク質とPIP2は対称なホモ三量体複合体を形成する。各単量体には砂時計形で親水性の小孔が1個ずつ含まれ、7回膜貫通ヘリックスドメイン中に収まっている。構造機能解析から、イオン透過通路の細胞質側のゲートの安定化に、PIP2が中心的な役割を果たしていることが判明し、ゲートにかぶさる細胞質側ループにCa2+によって著しいコンホメーション変化が起こることが分かった。これらから、TRICチャネルの複雑なゲート開閉機構を説明するモデルが考えられる。

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