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構造生物学:哺乳類ミトコンドリア複合体Iの全体の原子構造

Nature 538, 7625 doi: 10.1038/nature19794

ミトコンドリア複合体I(NADH:ユビキノン酸化還元酵素とも呼ばれる)は、膜を介したプロトン輸送と共役して起こるNADHからユビキノンへの電子伝達を行うことで細胞エネルギー産生に関わっている。全質量が970キロダルトンのこの複合体は、呼吸鎖中で最大のタンパク質集合体である。今回我々は、低温電子顕微鏡法と架橋法および質量分析マッピング実験を併用して解かれた、ヒツジ(Ovis aries)ミトコンドリア複合体Iの3.9 Å分解能でのほぼ完全な原子構造を示す。14個の保存されたコアサブユニットと、31個のミトコンドリア特異的で機能不明の余分なサブユニットの全ての構造がL字型分子中で決定された。親水性のマトリックス中にある「腕」様部分は、電子伝達に関与するフラビンモノヌクレオチドと8つの鉄–硫黄クラスターを含み、膜内の腕は78の膜貫通へリックスを含んでいて、その大部分がプロトン輸送に関与する対向輸送体様のサブユニットである。機能不明の余分なサブユニットは連結され、保存されたコアを囲んで安定化する殻を形成している。カルジオリピンなどの強く結合した脂質が疎水性サブユニット間の相互作用をさらに安定化している。おそらく調節に働くと考えられるサブユニット群にはNADPHと2個のホスホパンテテイン分子という補因子も含まれていて、これらはサブユニット間の相互作用に関わることが分かった。我々は、複合体の2つの異なるコンホメーションを観察したが、これらはコンホメーション変化によって駆動される共役機構と、この酵素の活性化–非活性化遷移に関わっている可能性がある。今回得られた構造は、ミトコンドリア複合体Iの作用機構、組み立て、成熟と機能不全に関する手掛かりを与えるもので、疾病原因となる変異の詳細な分子レベルの解析を可能にするものである。

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