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構造生物学:ヒトα4β2ニコチン受容体のX線結晶構造
Nature 538, 7625 doi: 10.1038/nature19785
ニコチン性アセチルコリン受容体はリガンド依存性イオンチャネルで、神経筋接合部では化学物質による迅速な神経伝達を担い、中枢神経系ではシグナル伝達にさまざまな役割を果たしている。ニコチン受容体は、細胞表面受容体、特にリガンド依存性イオンチャネルのモデル系として、100年以上にわたって使われてきた。ニコチン受容体は、薬理学や神経生物学の多数の分野の発展に非常に大きな役割を果たしているのに加えて、神経筋疾患、嗜癖、てんかんでの重要な治療標的であり、手術の際に使われる神経筋遮断薬の標的としても重要である。この受容体の全体構造は、シビレエイの一種Torpedo marmorataの発電器官から単離されたニコチン受容体についての画期的な研究で明らかにされている。また可溶性リガンドが結合するドメインの構造から、受容体とリガンドの相互作用について原子レベルでの考察がなされている。一方、五量体構造を持つ受容体のスーパーファミリーに属する他の受容体の高分解能構造が手掛かりとなって、アロステリックなチャネル開閉機構も明らかになりつつある。これまでに得られている高分解能構造は全てホモ五量体構造の受容体のものだが、生体に存在する五量体構造の受容体(真核生物ではCysループ受容体と呼ばれる)の大多数はヘテロ五量体である。本論文では、ヒトの脳で最も多く存在するニコチン受容体サブタイプであるα4β2ニコチン受容体のX線結晶構造を明らかにする。この構造から、この種のプロトタイプ的受容体でのリガンド認識やヘテロ五量体の組み立て、イオン透過や脱感作を支配する構造原理についての手掛かりが得られる。

