病態学:新しいクロマチンドメインの形成がゲノム重複の病原性を決定する
Nature 538, 7624 doi: 10.1038/nature19800
染色体のコンホメーションを捕捉する3C(chromosome conformation capture)法により、境界領域によって互いに隔てられているトポロジカル関連ドメイン(TAD)と呼ばれる、クロマチンの高次相互作用の染色体内構造が明らかにされた。TADは、ゲノムを別々の調節単位に細分することで、エンハンサーがその標的遺伝子との接触を確立することを制限している。しかし、ゲノムをTADに分割する基礎となる機構はあまり解明されていない。今回我々は、患者細胞と遺伝子改変マウスにおいて、3C法の応用である、capture Hi-C法および4C-seq法によって、ゲノム重複が新しいクロマチンドメイン(neo-TAD)の形成を引き起こす可能性があること、そしてこの過程はその分子病理学的性質を決定することを示す。ヒトでは女性から男性への性転換を引き起こす、マウスのSox9 TAD内(intra-TAD)の非コードDNAの重複は、そのTAD内の重複領域間の接触を増加させるが、全体的なTAD構造には変化を及ぼさないことが分かった。対照的に、次の境界領域を越えて隣接するTADにまで及ぶ(inter-TAD)オーバーラップ重複は、neo-TADの形成を引き起こし、これをゲノムの残りの領域から隔離した。この隔離によって、inter-TAD重複は表現型影響を全く及ぼさなかった。しかし、このneo-TADに、隣に位置する遺伝子Kcnj2が取り込まれると、Kcnj2とSox9調節領域の重複部分の異所的な接触、Kcnj2の連続した誤発現、および肢異常形成表現型が引き起こされた。我々の知見は、TADが、高度な内部安定性を持つゲノム調節単位で、ゲノムの構造的変動により変化するという証拠を示している。この過程はコピー数変動の解釈に重要であり、それはこのような変動が遺伝病やがんの診断検査で日常的に検出されるからである。今回の知見はまた、コピー数の差異はゲノムの複雑性の進化に非常に重要な役割を担うと考えられているため、進化にも関係している。

