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集団遺伝学:ゲノム解析で明らかになった、人類のユーラシア定住の際の移動事象
Nature 538, 7624 doi: 10.1038/nature19792
高カバー率の全ゲノム塩基配列研究はこれまで、地理的に限定された少数の集団に注目したものや、がんなど特定の疾患を標的としたものであった。しかし、高分解能のゲノムデータが得られるようになったことで、集団の歴史を推測するための新たな手法が開発され、ヒトの変異率に関する議論が再燃している。本論文では、エストニア・バイオセンター・ヒトゲノム多様性パネル(EGDP)について報告する。このパネルは、125集団に由来する379例の新規ゲノムを含む、世界148集団に由来する483例の高カバー率ヒトゲノム塩基配列のデータセットで、多様性および選択を基準に分類したものである。我々は、このデータセットの解析によって、ヘテロ接合性の大陸規模のパターン、長距離および短距離の遺伝子流動、古代人との混合、ならびに有効集団サイズの経時変化に加え、正の選択や平衡選択のシグナルに関する評価を改善した。その結果、現代のパプア人には、ごく初期に起こり、その後ほとんど途絶えてしまった解剖学的現生人類(AMH)の広がりに由来するゲノムが少なくとも2%含まれることを示す、遺伝的シグネチャーが存在することが分かった。西アジアの化石記録の証拠、およびAMHとネアンデルタール人との混合がユーラシア人の主要な広がりより先に起きていたことと併せて、今回の結果は、AMHが7万5000年前以前にアフリカを出ていたことを裏付ける、さらなる証拠となる。

