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神経科学:前脳基底部のコリン作動性摂食回路は食欲抑制を調節する

Nature 538, 7624 doi: 10.1038/nature19789

非定型的な食物摂取は、肥満などの摂食・代謝障害の主たる原因である。摂食の神経制御に関する手掛かりはこれまで、体重の恒常性調節に関わる中枢部位である視床下部に関連したシグナル伝達に主に集中してきた。しかし、摂食行動の調節における非カノニカルな中枢神経系シグナル伝達機構の役割については、ほとんどその特徴が明らかにされていない。アセチルコリンは、よく知られた食欲抑制物質であるニコチンとの機能的類似性も理由の1つとなって、以前から摂食に影響を与えると考えられてきた。ニコチンはアセチルコリン受容体の外因性アゴニストであるため、内因性のコリン作動性シグナル伝達が正常な生理的摂食調節に役割を果たしている可能性が示唆される。しかし、脳内のコリン作動性ニューロンが食物摂取を調節する仕組みは、依然不明である。今回我々は、マウスの前脳基底部のコリン作動性ニューロンが、食物摂取と体重に強い影響を及ぼすことを報告する。コリン作動性シグナル伝達を障害すると食物摂取が増加して重度の肥満になるが、コリン作動性シグナル伝達を増強すると食物消費が減少する。コリン作動性回路は視床下部内の下流部を標的にして食欲の抑制を調節する。これらの結果をまとめると、コリン作動性の前脳基底部は摂食行動の基礎となる主要な調節中枢だということが明らかになった。

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