化学:合成ガスから低級オレフィンを直接生成するための炭化コバルトナノプリズム
Nature 538, 7623 doi: 10.1038/nature19786
低級オレフィン(一般的にエチレン、プロピレン、ブチレンを指す)は、化学工業で広く用いられている基本的な炭素系構成要素であり、従来、ナフサ、軽油、コンデンセート、軽質アルカンなど、さまざまな炭化水素原料の熱分解や接触分解を通して製造されている。こうした炭化水素の供給源である埋蔵石油は限りがあり急速に枯渇しているため、代替原料から低級オレフィンを生成できる過程の必要性が差し迫ったものとなっている。「フィッシャー・トロプシュ法によるオレフィン合成(FTO)」過程は、長年にわたって、合成ガス(石炭やバイオマス、天然ガスから容易に得られる水素と一酸化炭素の混合物)から低級オレフィンを直接生成する方法をもたらしてきた。しかし一般的に、FTO過程で得られる炭化水素の割合は、C2~C4炭化水素が最大で約56.7%、不要なメタンが約29.2%であることを特徴とする、いわゆるAnderson–Schulz–Flory分布に従う。今回我々は、炭化コバルト四角柱ナノプリズムが、温和な条件下で合成ガスのFTO変換を触媒することを示す。この変換では、高い選択性で低級オレフィンが生成される(炭素生成物の約60.8%を占める)が、メタンの生成が低く抑えられ(約5.0%)、C2~C4生成物の中で価値の低い飽和炭化水素に対する望ましい不飽和炭化水素の比が30と高い。初期の反応段階における詳細な触媒特性評価と、理論計算から、優先的に露出する{101}ファセットと{020}ファセットが、オレフィンを選択的に生成しながらメタン生成を阻害することで合成ガス変換時に極めて重要な役割を果たしていることが示され、従って炭化コバルトナノプリズムは合成ガスから低級オレフィンへの直接変換用の有望な新規触媒系であるといえる。

