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神経科学:単一樹状突起スパイン内の自己分泌型BDNF–TrkBシグナル伝達

Nature 538, 7623 doi: 10.1038/nature19766

脳由来神経栄養因子(BDNF)とその受容体TrkBは、さまざまな形のニューロン可塑性に重要な役割を果たしており、その中には、動物の学習に関連する構造的な長期増強(sLTP)も含まれる。しかし、sLTPの際にBDNFの放出とTrkBの活性化が起こっているのかどうかは知られておらず、起こるとしても、いつどこで起こるのかは不明である。今回我々は、蛍光共鳴エネルギー移動に基づくTrkBセンサーと二光子蛍光寿命画像化顕微鏡法を用いて、培養ネズミ海馬切片中でCA1錐体ニューロンの単一樹状突起スパインのTrkB活性を観察した。するとsLTPの誘導に応じて、刺激した樹状突起スパインで早いTrkB活性化が1分以内に起こり、その活性が20分以上持続することが観察された。このTrkBの活性化はNMDAR(N-メチル-D-アスパラギン酸受容体)とCaMKIIシグナル伝達、および後シナプスで合成されたBDNFに依存することが分かった。また電子顕微鏡を使ってBDNFが後シナプス内に存在することを確認し、内在性BDNFが海馬のCA1錐体ニューロンの樹状突起やスパインに局在することを明らかにした。さらに、superecliptic pHluorin(pH感受性の蛍光タンパク質)と融合させたBDNFを用いてBDNFの放出を調べたところ、これらの知見と一致して、グルタミン酸による刺激に誘発されて、単一樹状突起スパインから非常に早いBDNF放出が起こることも分かった。また、構造的なLTPと機能的なLTPのどちらにも、この後シナプスBDNF–TrkBシグナル伝達経路が必要であることが明らかになった。これらの知見を総合することにより、刺激された樹状突起スパインからNMDAR–CaMKIIに依存して起こるBDNFの放出と、これらの同じスパインでのその後のTrkB活性化というスパイン自律的な自己分泌シグナル伝達機構が、ニューロンの構造的・機能的可塑性に不可欠であることが判明した。

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