Letter
食料安全保障:小規模農家の強化による中国の収量ギャップの縮小
Nature 537, 7622 doi: 10.1038/nature19368
増加し続ける世界人口に食料を持続的に供給することは難題であり、収量ギャップ(その地域で達成可能な収量と農家における実際の収量との差)の縮小は、この難題に取り組むための重要な戦略の1つである。農業景観の多くを小規模農家が占める発展途上国では、収量ギャップの程度が特に大きい。多くの要因や制約が相互作用して収量を制限しており、問題の解決が進んで農業の現場に変化がもたらされることはめったにない。今回我々は、STB(Science and Technology Backyard)に基づいて、小規模農家が十分な収量と経済的利益を持続的に得られるようにするための革新的な方法を示す。STBは、農業科学者たちが農民と共に農村に居住して、参加型のイノベーションおよび技術移転を推進し、官民からの支援を集めるプロジェクトである。我々は、農学、インフラストラクチャーおよび社会経済の諸条件が関わる多面的な収量制限要因を複数明らかにした。これらの制限や農民の懸念が問題として明確に取り上げられると、農民たちは推奨された管理手法を取り入れ、それによって生産量が増加した。中国のある地方では、5年間の平均収量が、71の先導的農家で達成可能なレベルの67.9%から97.0%に、県全体(9万3074戸)でも62.8%から79.6%に増加し、これに伴って資源および経済的な恩恵がもたらされた。

