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計算生物学:混合系譜状態の単一細胞解析で明らかになった二元的な細胞運命選択

Nature 537, 7622 doi: 10.1038/nature19348

まれな中間状態や細胞タイプの指定を統御する調節遺伝子のネットワークなど、階層的な細胞の状態を詳細に記述することは、いまだに発生生物学における難題であり続けている。単一細胞RNA塩基配列解読はこのような研究を大幅に加速させており、それはゲノムの状態やその推定される調節因子の包括的な記述を提供できることによる。造血系の多能性前駆細胞は、二分化能性の中間状態とともに、単一細胞レベルで系譜の混在した遺伝子発現パターンを示す。このような混合系譜状態は、共発現された別々の系譜決定因子、すなわち転写因子による、異なる発生能の分子プライミングを反映しているのかもしれない。ある双安定性遺伝子調節ネットワークが、好中球かマクロファージかの指定を調節すると考えられてきたが、in vivoで見られる遷移状態の性質や、細胞運命決定因子の基礎となる動態については、まだ明らかにされていない。本研究で我々は新たな解析ツールであるICGS(iterative clustering and guide-gene selection)法を組み合わせた単一細胞RNA塩基配列解読と、クローン原性アッセイを用い、マウスにおいて好中球かマクロファージかの指定を決定付ける階層的なゲノム状態および調節状態を詳細に示す。この解析により、造血幹細胞/前駆細胞系の遺伝子と、骨髄前駆細胞系の遺伝子を同時に発現している一般的な混合系譜中間状態が捉えられた。また造血幹細胞/前駆細胞の遺伝子発現プログラムが崩壊していて、代わりに骨髄系の決定因子Irf8とGfi1を低レベルで発現しているまれな準安定中間状態も明らかになった。遺伝的かく乱や、クロマチン免疫沈降とこれに続くゲノム塩基配列解読により、Irf8とGfi1は、骨髄系遺伝子調節ネットワークにおいて対抗的に働く主要な構成因子であることが明らかになった。これらの2つの決定因子を共に欠失させると、準安定中間状態を「捉える」ことができた。混合系譜状態は細胞運命の指定において必須であり、動的に不安定であるために出現頻度が異なり、対抗的な遺伝子調節ネットワークにより指示されると考えられる。

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