生体触媒:in vivoメタセシス用の人工金属酵素の定方向進化
Nature 537, 7622 doi: 10.1038/nature19114
生体触媒反応の分野は、天然酵素の活用から、定方向進化を用いて目的に合わせた機能を有する新しい生体触媒を得るまでに進歩した。最近、非生物反応で天然酵素のレパートリーを広げる手段がいくつか開発された。例えば、遷移金属の反応範囲の広さと酵素の有益な触媒的特徴を組み合わせた人工金属酵素によって、新しい反応を設計する魅力的な手段がもたらされる。相補的な戦略としては、天然金属酵素を非生物変換用に再利用する、コンピューターで金属酵素を(再)設計する、非生物補因子をタンパク質に組み込むという3つが存在する。3つ目の戦略によって、非天然反応向けに多種多様な人工金属酵素を設計する機会が得られる。しかし、多くの金属補因子は細胞成分によって阻害されるため、足場タンパク質の精製が必要になる。これによって、人工金属酵素に適用される遺伝的最適化方式の処理能力と、天然代謝の拡張を目的としたin vivoでの金属酵素の適用可能性が制限される。今回我々は、オレフィンメタセシス用の人工金属酵素の局在化とin vivo進化について報告する。オレフィンメタセシスは典型的な有機金属反応であり、自然界に同等な反応は見られない。我々は、人工メタロヒドロラーゼに関する過去の研究を基に、「メタターゼ(metathase)」の反応区画として大腸菌(Escherichia coli)のペリプラズムを利用している。ペリプラズムは、最近主要な阻害剤であることが明らかになったグルタチオンなどの阻害剤の濃度が低いため、人工金属酵素に良好な環境が得られるからである。この戦略では、in vivoでの機能性メタターゼの集合と定方向進化が促進され、精製されたタンパク質バリアントに頼る従来の方法と比較して処理能力がかなり高まっていた。今回の進化したメタターゼは、市販の触媒と比べて遜色がなく、さまざまなメタセシス基質に対して活性を示し、ワークフローを調節することによってさまざまな方向にさらに進化する可能性がある。今回の結果は、in vivoで非生物反応を触媒する人工金属酵素の系統的実現と進化を示すものであり、例えば非天然代謝に応用できる可能性がある。

