Article

構造生物学:転写開始複合体の構造によって説明されるDNA開裂機構

Nature 533, 7603 doi: 10.1038/nature17990

真核生物のタンパク質をコードする遺伝子の転写は、RNAポリメラーゼ(Pol)II開始複合体の集合とプロモーターDNAの開裂から開始される。今回我々は酵母の転写開始複合体について、閉じたDNAを含む状態(分解能8.8 Å)と開裂したDNAを含む状態(分解能3.6 Å)の低温電子顕微鏡構造を報告する。DNAはTATAボックス結合タンパク質TBPと転写因子TFIIA、TFIIB、TFIIEおよびTFIIF間の相互作用が作り出すネットワークによりPol IIの裂け目に置かれ、そこに保持されている。DNAの開裂は、Pol IIクランプの先端とTFIIEの「eWH(extended winged helix)」ドメインの付近で起こり、TFIIHが存在しなくても開始される。鋳型DNA鎖の活性中心への導入は、障害となるタンパク質成分の移動により促進され、こうした移動はTFIIEの「E-ribbon」ドメインのアロステリックな結合により引き起こされるらしい。これらの結果から、広範囲にわたるタンパク質間相互作用やタンパク質とDNAの接触を介した開いたプロモーターDNAの捕捉という重要な事象による転写開始に関する統合モデルが考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度