免疫学:非標準的オートファジーは細胞死を起こした細胞に対する自己炎症性ループス様応答を阻害する
Nature 533, 7601 doi: 10.1038/nature17950
細胞死を起こした細胞の除去がうまく行えないことが、全身性エリテマトーデス(SLE)の発症の基盤にあると考えられている。死にかけた細胞の除去に関わる分子が欠損しているマウスはSLE様症状を発症し、SLE患者由来の食細胞は、in vitroで死につつある細胞に接触してもうまく除去できず、炎症性サイトカインの産生が亢進する場合が多い。これまでに我々、および他の研究グループが、LAP(LC3-associated phagocytosis)というオートファジーの非標準的形態を報告している。LAPでは、死にかけた細胞などの貪食した粒子を含んだファゴソームがオートファジー経路の要素を動員して、ファゴソームの成熟と内容物の消化を促進する。Atg5遺伝子とAtg7遺伝子は共に、標準的オートファジーとLAPの両方に関わっている。ゲノム規模の関連研究によって、Atg5遺伝子と、おそらくはAtg7遺伝子の多型がSLEの素因のマーカーであることが明らかになっている。今回我々は、LAPの欠陥がin vivoでどのような結果をもたらすかを明らかにした。LAP経路の複数の構成要素を欠くマウスでは、血清中の炎症性サイトカインと自己抗体のレベルが上昇し、糸球体の免疫複合体沈着が増加し、腎障害の証拠が得られた。LAPに欠陥のあるマウスに、細胞死を起こしている細胞を注射すると、貪食はされるが効率良い分解は起こらず、炎症促進性サイトカインの急上昇が見られるが、抗炎症性のインターロイキン10(IL-10)は増加しなかった。このような死にかけている細胞をLAP欠陥マウスに繰り返し注射すると、自己抗体の血清レベルが上昇するなど、SLE様症状の発症が促進されるが、LAPが十分機能しているマウスではこうした結果は見られなかった。これに対し、標準的オートファジーに必要だがLAPには必要とされない遺伝子が欠失したマウスは、死にかけた細胞の除去に欠陥が見られず、炎症性サイトカインの産生もSLEに似た病気も起こらず、野生型マウスと同様に死にかけた細胞に応答してIL-10が産生された。従って、標準的なオートファジーではなくてLAPの欠陥がSLE様病態を引き起こす可能性があり、SLEの原因になっているのかもしれない。

