ウイルス学:抗HIV-1抗体の単回注射はSHIVへの反復曝露による感染を防御する
Nature 533, 7601 doi: 10.1038/nature17677
強力な抗レトロウイルス薬がヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染の制御に成功しているにもかかわらず、有効なHIV-1ワクチンの作製にはほとんど進歩が見られない。抗HIV-1広範囲中和抗体の受動的移入は、マウスあるいはマカクザルをHIVもしくはサル/ヒト(SIV/HIV)キメラウイルス(SHIV)への大量単回曝露からそれぞれ防御できるが、HIV-1に関しては抗体の受動的移入の長期的効果は調べられていない。今回我々は、A型肝炎免疫グロブリンによってもたらされる比較的長期の防御を基準として実験を行い、少量のクレードB SHIVAD8ウイルスへの週1回曝露の反復による感染の防止に、4種の抗HIV-1中和モノクローナル抗体(VRC01、VRC01-LS、3BNC117および10-1074)の単回注射(20 mg kg−1)が有効であることを明らかにした。感染までに2~6回の曝露(中央値 = 3回)が必要だった対照動物に比べて、広範囲中和抗体の単回注入を行った場合は、最長で週1回曝露を23回行うまで、ウイルスの獲得が防がれた。この効果は、抗体の力価と半減期に依存していた。血漿中和活性の最高値、およびそれに対応する最長防御期間は、より強力な抗体3BNC117および10-1074を投与したサルで認められた(中央値はそれぞれ、13および12.5週)。より低い血漿中和活性を示したVRC01の防御期間はより短かった(中央値 = 8週)。抗体の半減期を伸ばす変異をVRC01のFc(crystallizable fragment;結晶化可能フラグメント)ドメインに導入してやると、防御の中央値は8週から14.5週に延びた。このような免疫学的予防をHIV-1伝播のリスクが高い集団に対して行えば、ウイルス伝播に大きな影響を与えると考えられる。

