Letter

材料科学:幾何学的設計による極性金属

Nature 533, 7601 doi: 10.1038/nature17628

ガウスの法則では、静電平衡にある導体内部の正味の電場は、電荷の有効遮蔽によってゼロになる。つまり、金属内部の自由キャリアによって、非対称な電荷分布から生じる可能性のある内部の双極子が排除される。量子物理学はこの考えを支持しており、金属では不明確な量である静的な巨視的分極を、非局在化した電子が生成することは示されている。しかし、絶縁相に見られるような、双極子相互作用によって整列した協同的な原子変位に起因する、長距離秩序化した双極子を示す極性金属を見いだすことは極めてまれである。今回我々は、反転を保つ変位(中心変位)の原子スケールの制御に基づく戦略を使って、薄膜A NiO3ペロブスカイト型ニッケル酸塩における室温極性金属の量子力学的設計と実験的実現について報告する。我々は、下地基板によって課せられる幾何学的制約に起因する、ペロブスカイト型構造の特徴である頂点が連結されたNiO6八面体の非平衡な振幅と傾斜パターンによって、協同的な極性Aカチオンの変位が幾何学的に安定化することを、ab initio計算によって予測している。LaAlO3 (111)基板上に成長したヘテロエピタキシャル薄膜は、この設計原理を満たしている。我々は、(001)基板上に成長した組成が同じ膜では得られない、導電性の極性単斜晶酸化物を実現し、薄膜の幾何学構造に、これまで報告されていない隠れた非平衡構造を観測した。この幾何学的な安定化法によって、特異な性質が共存する新しい多機能材料を実現する新たな道が開かれると、我々は予想する。

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